新築の家づくりは、決めることが山のようにあります。間取り、キッチン、収納、壁紙、照明……どれも生活の基盤になるから、ついそちらを優先してしまうのは当然の流れです。そして、気がつけば「庭や外構は住んでから考えよう」と、後まわしにしてしまう。けれどその判断、あとから取り返しのつかない“損”を生むかもしれません。
実際、住んでから外構を整えるには、予想以上のコストがかかります。「最初からまとめてやっておけばよかった」と後悔するケースは非常に多く、外構は“家の最後の仕上げ”というより、“家づくりの一部”として捉え直すべき領域です。
このあと紹介する3つの理由は、すべて後まわしにしたことで起きる実際のコスト増の要因です。「まだ先でいい」ではなく、「今だからこそ考えるべき」外構計画。その重要性を、しっかりと確認しておきましょう。
工事の手間が増える|再施工で“余計な費用”が発生する
新築完成後に庭や外構の工事を行う場合、最も大きなネックになるのが「再施工による非効率」です。たとえば、すでに整地されている地面を再度掘削する必要が出てきたり、住宅周辺の足場や設備がある状態での施工になるため、搬入や作業に制限がかかります。
さらに、工事車両の乗り入れが難しくなると、小型機械での作業や手作業が増え、人工(にんく)=人件費がかさむ原因に。重機を使えば半日で済むような作業も、後施工では数日かかってしまうことも少なくありません。
また、入居後の工事では庭や家の一部を養生(ようじょう)=保護する必要があり、これも追加費用の対象となります。加えて、せっかく敷いた砂利や仮設フェンスを一度撤去して再設置するような“無駄”も生まれがちです。
これらの費用は、計画段階で外構まで含めていれば避けられた出費。後まわしにすることで、施工効率とコストパフォーマンスの両方を落としてしまうリスクがあるのです。
住宅ローンに組み込めない|外構費用は“別払い”になる
新築時であれば、外構費用も住宅ローンに組み込むことが可能です。これにより、金利の安いローンで建物とまとめて返済できるという大きなメリットがあります。しかし、建物完成後に外構工事を行う場合、その費用は「住宅ローン」ではなく、「リフォームローン」や「自己資金」でまかなう必要が出てきます。
リフォームローンは金利が高めで、借入限度額や審査も厳しくなる傾向にあります。また、現金での一括支払いが求められるケースもあり、急な出費として家計に重くのしかかることも少なくありません。
外構の予算を見積もりに含めておけば、月々のローン返済に自然に組み込むことができ、資金計画が格段に立てやすくなります。「予算が足りないから」と後回しにした結果、希望していた内容を削ることになった…というのもよくある話です。
後回しにすると“借りられなくなる”。これは、単なる手間ではなく、お金そのものの話。最初に計画に組み込むかどうかで、出費の総額は大きく変わってくるのです。
暮らしの質を落とす|“未完成の外構”がもたらす見えない損失
建物は完成したのに、外構が手つかずのまま。そんな状態で暮らし始めると、見た目以上に生活への影響が出ます。たとえば、玄関までの足元が土のままだと、雨の日に靴が泥だらけになる。駐車スペースが整っていなければ、車の乗り降りにストレスを感じる。草が生え放題のまま放置されれば、手入れも大変ですし、見た目にも生活感がにじんでしまいます。
また、防犯やプライバシーの観点からも、外構は極めて重要です。フェンスや門扉がないまま暮らせば、外から家の中が丸見えになることも。日々の安心感を得るには、「仕切り」があるかどうかは大きな違いになります。こうした心理的な負担も、住まいの満足度をじわじわと下げていく要因です。
そしてもう一つ、意外と見過ごされがちなのが「ご近所への印象」です。新築住宅の前が整っていないと、「建築中のように見える」「落ち着かない印象を与える」など、周囲との調和にも影響を及ぼします。外構は、暮らしの質を整える最後の一手。完成して初めて「住まい」としての完成形になるとも言えるでしょう。
「後でやるつもりだったけど、いつの間にかそのままに…」。そんな未完の外構は、見えないコストを日々積み重ねています。経済的にも、精神的にも、後悔の芽は小さいうちに摘んでおくべきです。
思わぬリスクが潜む、“外構後まわし”のその先
外構工事を後回しにする判断には、直接的な費用面以外にもさまざまなデメリットが潜んでいます。たとえば、建物と外構のデザインに統一感がなくなるという問題。建築時にこだわって決めた外観も、後から適当に足された外構ではちぐはぐになり、せっかくの住まいの魅力を損ねてしまうことがあります。
また、後工事では施工中の騒音や粉じん、職人の出入りなどが生活のストレスになります。入居後の慌ただしい日常の中で、「工事の立ち会い」「時間調整」「ご近所への気遣い」などの負担が加わると、家づくりの満足感が一気に下がってしまうのも無理はありません。
さらに見落とされがちなのが、資材価格や人件費の上昇です。計画時よりも数か月後には同じ仕様で価格が上がっているケースも少なくなく、これは住宅設備と同様に外構業界でも起きています。「当初の見積もりより高くなった」と感じる背景には、こうした外的要因が関係していることもあるのです。
暮らしが始まってから改めて工事をするというのは、時間も労力も余計にかかるもの。だからこそ、外構は「後」ではなく「最初から」考えておくのが賢い選択です。生活の質を保ち、無駄な出費を防ぐために、建築と同時に進めることをおすすめします。
外構計画で失敗しないためのチェックポイントや提案スタイルはこちら:
https://www.teirakukan.com/strength
外構は“今やる判断”が、家と暮らしの質を守る
新築の計画に追われる中で、「庭や外構はあとでもいい」と思ってしまうのは、ごく自然な流れかもしれません。けれど、その判断ひとつで、工事費は高くなり、住宅ローンも使えず、暮らし始めてからの不便やストレスが増えてしまうことがある──。それが、外構を後まわしにする最大のリスクです。
家の完成と同時に外構も仕上がっていれば、入居したその日から快適な暮らしが始まります。生活動線もスムーズで、見た目にも統一感があり、防犯やプライバシーの面でも安心感が段違い。毎日を気持ちよく過ごすための“見えないインフラ”として、外構は住まいの満足度を支えてくれる存在です。
コストを抑えたい、余裕ができてから考えたい──そうした思いも理解できます。でも、将来の余計な出費と負担を避けるには、今こそ考えておくことが、最も堅実な選択になります。
「まだ早い」と思っていた外構のこと、今日から少しずつでも考えてみませんか。
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